今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
IV 感染症
【梅毒】78.ペニシリンアレルギーがある梅毒患者です.
古堅 善亮
1
1順天堂大学附属静岡病院産婦人科
pp.584-585
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101511
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1 診療の概説
設問77の「処方の実際」は,日本性感染症学会によるものである.米国国立疾病管理センター(CDC)のガイドラインでは第一期と第二期の梅毒に対してはベンジルペニシリン・ベンザチン240万単位,筋注1回投与である.第三期ではベンジルペニシリン・ベンザチン240万単位,筋注を1週間ごとに3回行う 1).しかし,本邦ではこの製剤はなく,本邦での筋注用の製剤は半減期が短いため,この方法では治療が不十分である.神経梅毒では水溶性結晶ペニシリン300~400万単位を4時間ごとに6回/日を10~14日間投与するが,これは本邦のガイドラインと同様である.CDCでは神経梅毒の場合や妊婦の場合は,たとえペニシリンアレルギーがあっても減感作を行い,ペニシリン投与することが望ましいとしている.しかし,本邦では副作用に対しての配慮からか他剤の投与が推奨されている.
CDCでは治療のほとんどが注射で行っているが,本邦では経口剤が中心である.内服薬のコンプライアンスが悪かったり,経過観察不能な場合,注射剤が望ましいと考えられる.しかし,前述したように,本邦では半減期の長いペニシリン剤がなく,また内服剤の優れた治療効果が示されてきたため,ショックの危険性の少ない経口剤を使用するのは何ら問題ないと考える.
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