今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
III 不妊症
【原因不明不妊】66.ARTを何度トライしても妊娠しない原因不明不妊の患者です.
福田 淳
1
1秋田大学医学部生殖発達医学講座産婦人科学分野
pp.551-553
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101499
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1 診療の概説
「ARTを何度トライしても」という表現のみでは漠然としており,どのような種類のARTを何回施行したかによって意味合いが異なってくる.最近ではARTにおける手技も多岐にわたっており,各症例の問題点に即して,個別化した治療法が選択されるようになってきている.仮に,今回のARTが,いわゆるconventional ART(GnRHa, FSH/HMG刺激による採卵で4細胞期胚を移植)を意味する場合には,ほかの治療法を選択することにより妊娠できる可能性もある.
ART不成功の原因は表1に示すように,大きく分けると,胚そのものの異常,子宮内環境の異常が挙げられる.そのなかで胚の因子では,(1)卵胞の発育が悪い,(2)卵子の質が悪い,(3)受精しない,(4)透明体が厚い,子宮内環境の因子では,(1)卵管水腫がある,(2)ポリープあるいは粘膜下子宮筋腫などがある,(3)子宮内膜が厚くならない,(4)移植操作が困難で移植時子宮収縮がある,などは比較的原因を特定しやすく,後述のように改善の余地がある.
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