今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
II 内分泌
【月経困難症】36.月経時の胃痛と頭痛を訴える10歳代後半の患者です.器質的な原因を認めず,機能性の月経困難症と診断しました.
南 佐和子
1
1和歌山県立医科大学周産期部
pp.463-465
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101469
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 診療の概説
月経困難症は「月経期間中に月経に随伴して起きる病的症状」と定義されており,下腹部痛,腰痛がその中心をなすが,嘔気,嘔吐,頭痛,下痢,疲労感,脱力感などとして現れる場合もある.機能性月経困難症は,子宮に器質的な異常が認められないにもかかわらず,痛みが出現するもので若年女性の約50%にみられる 1).
黄体期後期に卵巣からのプロゲステロンの分泌が低下すると,子宮内膜のサイクロオキシゲナーゼ(COX)の活性化が起こり,アラキドン酸からプロスタグランジン(PG)が産生される(図1).この経路をアラキドン酸カスケードと呼ぶ.カスケードの最終産物の1つであるPGF2αは子宮収縮,血管攣宿を引き起こす.子宮筋層では虚血により低酸素状態となり,これが疼痛の主な原因となっている 2).嘔吐,嘔気,腰痛,頭痛,下痢などの症状はPGsとその代謝産物が体循環に流入し,体内の平滑筋を収縮させるために起こるといわれている.また,カスケードの中間産物であるPGE2は疼痛の誘発に関与している.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.