今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
II 内分泌
【無月経】26.自己嘔吐を繰り返す神経性食欲不振症の患者です.
山口 昌俊
1
1宮崎大学医学部産婦人科
pp.419-421
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101456
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1 診療の概説
神経性食欲不振症は気質的な精神疾患や,気分障害や統合失調症などの特定の精神的疾患がないのに,拒食・過食などの食行動の異常,やせであるのに極端なやせ願望(ボディイメージの障害)と月経異常,病識の欠如などを呈する疾患である 1).本疾患は,思春期の女性に多く,過食・拒食以外に隠れ食い,自己嘔吐,下剤や利尿薬などの薬物の連用などの異常行動を伴う.体重減少の結果低栄養状態となると低血圧,低体温,徐脈,貧血,低カリウム血症,低リン血症,浮腫,肝機能障害を伴うことがある.婦人科的にはほとんどの症例が無月経となるが,体重減少に伴って比較的早期に発生する.自己嘔吐を繰り返す症例では自殺などの異常行動を取る可能性があるので注意が必要である.
診断基準は,アメリカ精神医学会のDSM─4(表1)や厚生省特定疾患神経性食思不振症研究班の診断基準(表2)が用いられる.
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