今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
I 周産期
【腰痛(妊娠中)】14.妊娠25週に,突然,強い腰痛をきたした妊婦です.
板倉 敦夫
1
1埼玉医科大学産婦人科
pp.383-385
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101444
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1 診療の概説
腰痛症の原因としては,妊婦が大きな妊娠子宮を前方に抱えるので,重心を後ろへ移動させ上体を反屈する姿勢をとるためと考えられている.しかし,妊娠初期からすでに腰痛に悩まされる妊婦もいるため,肥大した妊娠子宮だけでは説明できない.腰痛症は,仙腸関節由来であることが多く,妊娠中に恥骨が離開しやすいのと同様に,仙腸関節も緩み引き伸ばされ,固定化するために疼痛を感じるとされている.そのため,仙腸関節を動かすと,直後は痛みを訴えても,その後に楽に感じるようになることが特徴である 1).
腰痛の約60%がその初発時期は20~31週であるとされており 2),妊娠25週の腰痛は,発症頻度から考えても,器質的疾患を伴わない腰痛症である可能性が高い.しかし,すべての妊娠中の症候がそうであるように,器質的疾患を見逃さないことが重要である.
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