今月の臨床 産婦人科外来ベストナビゲーション
ここが聞きたい105例の対処と処方
I 周産期
【頭痛(妊娠中)】13.ひどい頭痛を訴えている妊婦です.妊娠前からかなりの頻度で頭痛薬を服用していたといいます.
板倉 敦夫
1
1埼玉医科大学産婦人科
pp.379-381
発行日 2007年4月10日
Published Date 2007/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101443
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1 診療の概説
妊娠初期の頭痛で最も多いのは器質的疾患を有さない,いわゆる機能性頭痛である.つわりは,本来妊娠初期の消化器症状を指すが,頭痛や嗅覚異常などが前面に出る場合もある.国際頭痛学会は,2004年に頭痛を従来の機能性頭痛と症候性頭痛を一次性頭痛と二次性頭痛に分類した 1).妊娠中の頭痛は,このなかで「ホメオスターシスの障害による頭痛」として妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)および子癇による頭痛が含まれている.しかし,つわりは二次性頭痛に分類されておらず,一次性頭痛の増悪と考えるべきであろう.
嘔吐および気分不快の持続は,一次性頭痛を助長するので,片頭痛の既往がある妊婦では,この時期にしばしば頭痛を訴える.さらに,月経時片頭痛のように女性ホルモンの変化は頭痛を起こしやすいため,つわりの時期には片頭痛は増強するが,妊娠中期に入るとホルモンも安定し,片頭痛はむしろ起きにくくなるとされている.
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