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編集後記
岡井 崇
pp.770
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101397
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〈拉致〉
北朝鮮による日本人の拉致は非人道的行為の最たるもので,被害者や家族にとって憤懣やるかたない悲惨で痛ましい事件である.今もなお,生存する被害者の存在が疑われ,解決したとは到底いえない.
一方で北朝鮮は“核”開発を進めており,これを断念させることは日本のみならず国際的視野からみても最重要課題である.安倍内閣は,総理自身が拉致被害者の救済に向けた強い意志を示したことで国民から支持を得た経緯があり,北朝鮮との交渉に際し,拉致問題の解決を最優先する姿勢を崩していない.そのことが,6か国協議において日本が蚊帳の外に置かれた原因であることはいうまでもなく,冷静にわが国の国益を考えると,拉致問題よりも核問題を優先させることのほうが大切なのも明白である.もちろん,政治家達も同様に考えているのだろうが,そう口に出せないのだ.マスコミの論調も同じで,“拉致問題の解決を”と騒ぎ立てる.どちらも国民の感情を無視できない,というより,感情的になっている国民にただ諂っているように私には思える.
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