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編集後記
岡井 崇
pp.1474
発行日 2010年10月10日
Published Date 2010/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102494
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〈ホメオパシー〉
「濱の真砂は尽きるとも,世に医療事故の種は尽きまじ」と,石川五右衛門が言いそうだ.事故というよりは事件として扱うべきものだろうが,過日賑々しく報道されたこの出来事はいくつかの教訓を社会に残したと私は思う.
事件発覚後,日本学術会議が逸早く声明を出し,「ホメオパシーは何の効力もない」と公式に発表し,その声明への支持を日本医学会と日本医師会が,こちらも迅速に表明した.日本周産期・新生児学会も,母乳哺育児へのビタミンK投与の重要性を改めて関係者に訴えた.このような学術団体の行動はかつてあまりみられなかったと記憶する.医学系の学会が内向的に学問を追求するだけでなく,社会に対する責任を果たそうとする態度は好ましい方向と考えられ,公益法人格の取得を目指している日産婦学会にも,今後は,専門領域の学術または医療にかかわる情報を進んで社会へ発信することが求められる.
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