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編集後記
岡井 崇
pp.810
発行日 2012年8月10日
Published Date 2012/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103137
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<第一歩>
産科医療補償制度の原因分析報告書が医療者に厳しすぎて訴訟が増えている,などという流言を飛ばす者が居る.勿論,事実はそうでないのだが,根拠のない全くの虚言でも知らない人は騙されてしまうかも知れず,正しておかなければならない.
2009年に運用が開始されてから,昨年(2011年)末までに補償の対象となった重症脳性麻痺事例(先天異常や未熟児は対象外)は252例であった.その内,同時点までに損害賠償請求が行われた事例は証拠保全のみの8例を含めて18例(7.1%)であると発表されている.制度が開始される前の正確な数字は分からないが,分娩と関連して児が重症の脳性麻痺となった家族の半分くらいは何らかの賠償請求行動を起こしていたと推察されていて,上記の7.1%という数値は著しく低い.これは,新しい制度が出来たことから,家族が,まずは原因分析の結果を待って,と考えているためと考察されている.そこで重要なのが報告書が届いた後の家族の動向である.
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