今月の臨床 母体救急
母体救急―対応の実際
2.重症感染症・敗血症への対応
藤森 敬也
1
,
佐藤 章
1
1福島県立医科大学医学部産婦人科学教室
pp.716-721
発行日 2007年5月10日
Published Date 2007/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101377
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はじめに
周産期領域における感染症は,かつては妊産婦死亡の大きな原因の1つであったが,抗生物質の使用や周産期管理の充実により減少してきていることは事実である.しかしながら,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin─resistant Staphylococcus aureus : MRSA)感染症の出現や,劇症型A群レンサ球菌感染症といった再興感染症,長期カテーテル留置による感染症など,新たな感染症の問題も起きている.母体に炎症性疾患がある場合は子宮収縮が誘発され,切迫早産や早産となることも多く,絨毛羊膜炎(chorioamnionitis : CAM)との鑑別が重要となることもある.
本稿では,われわれが経験した重症感染症・敗血症症例として,劇症型A群レンサ球菌感染症(分娩型),MRSA産褥感染症,妊娠中の肺炎,長期カテーテル留置(tocolysis)によるエンテロバクター菌の敗血症の臨床像を中心に解説する.
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