Japanese
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特集 腫瘍の病理と臨床
綜説
化学療法の応用,適応
Clinical application and adaptation of chemical theraphy
近藤 達平
1
Tatsuhei KONDO
1
1名古屋大学医学部第2外科
pp.929-935
発行日 1970年7月20日
Published Date 1970/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205141
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癌の化学療法が成功したのは1865年にLissauerが亜砒酸カリ,すなわちFowler氏液を白血病の治療に用いたのが始まりといわれる1).また癌がホルモンと関係が深いことについては,19世紀の終りに去勢が人の乳癌や前立腺癌を縮少せしめることがのべられており2,3),ついでホルモン療法の原理が明らかになつたのは1930年以後で,人前立腺・前立腺腫瘍・前立腺癌患者血清に大量の酸フォスファターゼが証明されるようになつてからで4)Hugginsはこの方面の研究でNobel賞をうけた5),第2次世界大戦前10年間にいくつかの癌化学療法剤が見出されBoylandのaldehydes6)やStrongのheptaldehydesによる自然発生マウス腫瘍の治療7)が発表されている.ついで大戦中毒ガスや抗生物質の研究が非常に進歩したが,たまたまマスタードガスを運搬中数人がこれにさらされ,そのため血中細胞の減少がみられたのがnitrogen mustardを癌治療に使うきつかけとなつた8).
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