今月の臨床 無痛分娩・和痛分娩ガイダンス
VI.硬膜外麻酔分娩と妊婦
妊婦の疑問に答えます
72.陣痛に合わせて“いきむ”ことはできるのですか.
山本 哲三
1
1札幌東豊病院産婦人科
pp.554
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101246
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1 はじめに
分娩において陣痛と協調した“いきむ”ことが必要なのは,(胎児)娩出期といわれる分娩第2期である.
本来は,“いきみ”は子宮口が全開大になってから起きることが望ましいが,破水の有無,児頭の下降度,陣痛強度の程度などによっては分娩第1期から“いきむ”こともある.そのために,ときとして子宮頸管裂傷,直腸裂傷を含む重度の軟産道の裂傷などが生ずる.これらの損傷の予防には,“いきみ”は適時に,適量あることが望ましい.
硬膜外麻酔分娩では,腹筋群,骨盤低諸筋群,下肢筋群の運動神経の種々の程度の遮断は一般的に起きえる.その結果,陣痛に合わせての必要にして十分な“いきみ”が期待できないことが多い.すなわち,“いきみ”は弱くもなる.このことが分娩時の損傷予防のためには利点になることもある.また,分娩第2期の“いきみ”の抑制には,理にかなったクリステレルの胎児娩出法,鉗子分娩法,吸引分娩法などを行うことによって対応できる.
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