特集 周産期における研修医・新人助産師/看護師教育の必修知識 産科編
分娩の管理
陣痛異常
松井 遥香
1
,
入山 高行
1
MATSUI Haruka
1
,
IRIYAMA Takayuki
1
1東京大学医学部附属病院産婦人科学教室
pp.235-239
発行日 2024年2月10日
Published Date 2024/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001450
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はじめに
分娩の三要素は娩出力,産道,娩出物(胎児と付属物)であり,分娩の進行はこれらの相互関係によって決定される。娩出力は胎児を母体外に押し出す力で,腹圧と陣痛からなる。腹圧は産婦の随意的な「いきみ」による腹腔内圧のことで,子宮収縮に加わり娩出力となるが,その発現には腹筋,横隔膜,骨盤底筋の収縮が関与する。陣痛は,不随意に反復して生じる子宮筋の収縮である1)。一般的に分娩経過は分娩経過図(パルトグラム)を用いて管理するが,子宮頸管開大および子宮頸管熟化(Bishopスコアによる評価)や児頭下降度のほか,陣痛の強さや周期を併せて評価する必要がある。陣痛は陣痛発作(収縮)と陣痛間欠(弛緩)を周期的に繰り返すが,陣痛発作開始から次の発作開始までを陣痛周期という。日本産科婦人科学会では陣痛の強さは子宮内圧によって表すとされているが,臨床的には陣痛周期と陣痛発作持続時間をもって表現することが認められている。近年では子宮内圧測定を行うことはきわめて限定的であり,触診法や外測法による陣痛周期と発作持続時間により表現されることが一般的である2)。分娩進行に伴う陣痛周期と持続時間の変化を表1に示す。本稿では陣痛異常と,陣痛異常を認めた場合の対応について述べる。
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