連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・20
切迫早産・常位胎盤早期剥離を疑った子宮破裂の1例
横田 明重
1
1日本医科大学多摩永山病院女性診療科・産科
pp.319-321
発行日 2007年3月10日
Published Date 2007/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101150
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症例
患者:33歳,女性.1経妊・0経産,自然流産1回
主訴:下腹痛
家族歴:特記すべきことなし.
既往歴:25歳時に子宮筋腫核出術,28歳時に子宮筋腫核出術,30歳時に子宮筋腫レーザー蒸散術を受けた.
現病歴:最終月経よりの無月経を主訴に近医を受診した.その後の妊娠経過は順調であったが,妊娠25週2日に子宮筋腫核出術後の妊娠とのことで紹介され初診となった.胎児発育は順調であったが,胎盤付着部位が子宮後壁から下方であり,前置胎盤が疑われた.出血などは認めず外来フォローアップとしたが,妊娠30週0日に子宮収縮,下腹痛を認め外来を再診した.
現 症:意識清明,体温36.4℃,血圧105/63mmHgであった.内診上,分泌物は白色で少量,子宮口は閉鎖していた.経腟超音波上の頸管長も短縮は認められなかった(図1).また,外来で施行したノンストレステスト(non-stress test:NST)では,胎児心拍数基線は150bpmで,reactive patternであった.しかし,子宮収縮を頻回に認め,軽度の下腹痛も認めたため切迫早産と診断し,入院管理とした.
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