連載 婦人科超音波診断アップグレード・24【最終回】
急性腹症の超音波診断について
佐藤 賢一郎
1
,
水内 英充
2
1新日鐵室蘭総合病院産婦人科
2旭川みずうち産科婦人科
pp.169-184
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101125
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はじめに
急性腹症は,急激な強い疼痛を主訴とした腹腔内疾患の総称であり,腹腔内臓器の炎症,破裂,穿孔,出血,閉塞,血行障害などが原因として考えられる.急性腹症という用語は国際疾病分類(ICD─10)では明確な診断名がなく,症状,徴候,臨床検査の異常所見などの不明確な病態のみが記載されている場合に分類されるR項目(R10 : 消化器系および腹部に関する症状・徴候のうちの腹痛および骨盤痛)に分類される1).つまり,診断に至らなかった場合や,症状が一過性に消失し原因の特定に至らなかった場合などに使用され,適切な診断がなされたら用いる用語ではない.
婦人科領域で扱う腹痛は,部位としては主に下腹部が中心であるが,Fitz─Hugh─Curtis症候群などのようにときに上腹部痛が対象となる場合もある.また,卵巣腫瘍破裂の場合などは疼痛は腹部全体に及ぶこともある.女性の腹痛は,緊急手術が必要な場合も少なくないため迅速な診断と治療を要する.今回は,われわれの行っている超音波を活用した腹痛の鑑別診断について述べたい.
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