連載 産婦人科エコー 何を考えるか?・13
胎児水腎症
竹内 久彌
1
1愛和病院画像診断部
pp.103-105
発行日 2007年2月10日
Published Date 2007/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409101114
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妊娠36週5日に里帰り分娩希望で初診となった妊婦に対して,直ちに行われた胎児スクリーニングで右腎の腎盂拡張がみられるとして精密検査が依頼された症例である.2週間前まで受診していた前医では,これまで胎児の異常を指摘されたことはなかったという.
ここには腎の縦軸に沿った冠状断面を示す.腎盂尿管移行部(矢印)を通過する断面を選んでおり,これで腎盂のほぼ全景が観察できる.漏斗状の腎盂(*印)は明らかに拡張してみえ,さらに腎杯(小矢印)の拡張もみられるため,水腎症としてよい状態である.尿管(矢頭)は描出されているが,この程度では水尿管症とするほどではない.腎盂内の尿管移行部付近で尿が渦巻くような流れを示しているのが観察されたことから,腎盂尿管移行部の狭窄による尿の流出障害があって水腎症が発生したものと考えられた.
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