連載 ここまできた婦人科日帰り手術 4
TVT(tension―free vaginal tape)手術とintegral theory
関口 由紀
1,2
1横浜市立大学医学部泌尿器科
2湘南鎌倉総合病院婦人泌尿器センター
pp.849-856
発行日 2003年6月10日
Published Date 2003/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100911
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1 はじめに
TVT(tension―free vaginal tape)手術は,画期的な尿失禁手術で,1986年頃からスウェーデンのUlmstenとオーストラリアのPetrosが共同研究を開始し,1993年にはその理論的よりどころとなるintegral theoryがほぼ完成1),1996年にはUlmstenが現在のキットを発表している2).開発当初より局所麻酔を利用したminimally invasive surgery(day surgery)として開発された.この手術法は,これまでの手術法に比べ,簡便でありながら長期成績がよい腹圧性尿失禁の手術法であるという一面と3),もう1つintegral theoryという骨盤全体を考える仮説に基づいて骨盤底修復手術を行う際の重要な要素であるという一面を持っている1).しかしTVT手術のよいところは,この仮説をよく理解しなくても,最低限のルールを守れば,誰が行っても,比較的簡単によい成績が得られるところにある.
本稿では,湘南鎌倉病院におけるTVT day surgeryの実際を紹介するとともに,integral theoryに関しても言及したい.
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