今月の臨床 性器脱診療の最前線
【性器脱手術の実際】
2.TVM(tension-free vaginal mesh)
竹山 政美
1
,
加藤 稚佳子
1
,
木村 俊夫
1
1健康保険組合連合会大阪中央病院泌尿器科
pp.719-727
発行日 2009年5月10日
Published Date 2009/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102100
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はじめに
フランスで開発された骨盤臓器脱(POP)に対するtension─free vaginal mesh(TVM)手術が2005年に日本に導入され3年以上が経過した.多くの施設で試みられるようになり,優れた成績が報告されるようになった一方,合併症や再発の報告も散見される.術式に対する理解の不足や必要なhands─on trainingを経ることのない手術が広まっているのではないかという懸念がつきまとう.メッシュは有望な補強材料ではあるが,適切な層に留置しなければ腟びらんやmigrationによる膀胱,直腸への露出などを生じ,感染をきたせば治療に難渋する.
現在,多くの術者によって,種々の形態のメッシュが用いられているが,それらをTVMの名の下に同列において治療成績や術式の優劣を論じることには無理があると思われる.便宜上,フランスのTVMグループと同じ大きさ,同じ形のメッシュを用いるTVMをPrTVMと称することとし,ここではPrTVMの術式の概要,適応,手術成績,術式の工夫と注意点について述べることにする.
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