今月の臨床 妊娠と免疫
病態にかかわる免疫異常
3.妊娠中毒症と免疫異常
山本 樹生
1
,
吉永 陽樹
1
,
山代 美和子
1
,
三井 真理
1
,
古川 真希子
1
1日本大学医学部産婦人科
pp.1059-1063
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100858
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はじめに
妊娠中毒症の症状が出現する以前に血管内皮細胞障害が生ずること,胎盤では胎盤床の螺旋動脈への絨毛の浸潤の障害が生じていることが判明している.これらの妊娠中毒症の症状が出現する以前の所見や発症後の変化は,免疫の関与を推察させる.以前より自己抗体の出現が報告されてきたが,自己抗体が高血圧,凝固異常や胎児発育に関与する所見も得られてきた1).また胎盤物質と免疫に関しては古くより検討され,最近,胎盤物質が母体流血中に循環する客感的証拠が得られ,胎盤物質に対するinnate immunityの過剰反応が妊娠中毒症発症に関与するとの興味ある報告が出現した.今回このような観点を含め,妊娠中毒症と免疫について考察する.
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