今月の臨床 思春期のヘルスケアとメンタルケア
思春期診療の基礎
4.性教育のあり方
松本 清一
1
1日本家族計画協会
pp.1152-1155
発行日 2003年9月10日
Published Date 2003/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100829
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思春期保健と性教育
工業化社会の発展に伴い,欧米では1963年ごろから10代の性活動が増し,1970年代にはほとんどの国で10代の人工妊娠中絶増加の対策が重要課題として取り上げられるようになった.
そのためWHO(世界保健機関)は1977年「思春期の人々のヘルスニーズ」に関する専門委員会報告を出し,健全な発育と発達を目指して出生前からはじまる予防的保健サービスが必要なことを指摘した.そして1978年,国際家族計画連盟(IPPF)は性教育や正しい性情報の伝達が家庭・学校・マスメディアおよび保健サービスの協力によって行われるべきことを提唱し1),欧米諸国の家族計画協会では思春期保健が家族計画運動の一環として展開され,性教育は国民の精神保健に関するプログラムの一部として発展,多くの国で性教育が健康教育の視点,あるいは家族計画指導の延長線上にあるものとして実施され,思春期保健に包含されて,学校と地域保健機関と連携をとりながら進められるようになった2).
その結果,とくに北西ヨーロッパ諸国では1980年代から10代の人工妊娠中絶が顕著な減少を示して,対策がきわめて有効であったことが認められた.その対策の中心となったのは「北欧型解決」と呼ばれた「性の健康に対する若者へのサービスと教育の促進」で,その実現には,家族計画協会を中心とする家庭,学校,保健機関,マスメディアなどの協力活動,多数の思春期クリニックの設置,仲間教育・仲間カウンセリングの活動,そして若者に対するプログラムの企画・運営・評価への若者自身の参加などが効果的であった2).
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