臨床医のプライマリ・ケア 妊娠・分娩とプライマリ・ケア
妊婦教育の新しいあり方
品川 信良
1
Shinryo Shinagawa
1
1弘前大学医学部産科婦人科学教室
pp.291-294
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206598
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産科医などが妊婦に何かを説明したり,助言を与えたりすることを,「妊婦教育」と一般に呼んでいるが,この呼び方は必ずしも正しくはない。明らかに先方が無知で,「教育」と呼ぶのに価する場合もまれにはあるが,そうでない場合も多いからである。例えば妊婦の方が年上で,一般的教養も豊かであるばかりか,何回かの妊娠・分娩・育児をすでに経験しているのに対し,こちらははるかに年下であるばかりか,妊娠や分娩はおろかまだ未婚のことも珍しくないからである。したがって,私たちは妊婦を「教育」してやるというようなおこがましい考え方をすてて,妊婦の「相談」にのり,助言すべきことがあったら「助言」しますという程度の,謙虚な立場に立つことが,まずもって大切である。
次に妊婦,特に自分たちのところでの分娩を希望して外来に通っている妊婦に対する「助言」の与え方に関して,私が平素から気づいていることや,こうしたらよいのではないかと考えていることなどから,いくつかのことを述べてみたい。ただし,人手不足などから,以下に述べることのなかには,私たちのところでもまだ実現されていないことが1〜2ある。あらかじめおことわりしておく。
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