今月の臨床 ここが知りたい─婦人科がん化学療法
子宮体がん
3.子宮肉腫・がん肉腫の化学療法は
寒河江 悟
1
,
江坂 嘉昭
1
1札幌医科大学産婦人科
pp.1240-1243
発行日 2004年10月10日
Published Date 2004/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100643
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はじめに
子宮肉腫は,婦人科悪性腫瘍全体の1%以下,子宮悪性腫瘍のなかで2~5%に発生する稀な悪性新生物である.症例数が少ないため治療方法が確立していないこともあるが,その予後はきわめて悪く,臨床上多くの問題点を擁している1).本腫瘍を発生母地から分類すると,①中胚葉性混合腫瘍〔mixed mesodermal(mullerian)tumor〕(癌肉腫)および子宮内膜間質肉腫(endometrial stromal sarcoma),②平滑筋肉腫(leiomyosarcoma)とに2大別される.日本の子宮体癌取扱い規約(1996年)でも子宮肉腫・癌肉腫は間葉性腫瘍と関連病変,上皮性・間葉性混合腫瘍の項に分類され,さらに病理形態によって細分化されている2).その発生頻度をみてみると,癌肉腫が60%,平滑筋肉腫が30%,その他10%で,癌肉腫・平滑筋肉腫で90%が占められる.
Gynecologic Oncology Group(GOG)では臨床的な見地から子宮肉腫を,①mixed mullerian sarcoma(MMS),②leiomyosarcoma(LMS),③endometrial stromal sarcoma(ESS),④other uterine sarcomaに分類し,それぞれの分類にしたがって治療の臨床試験を計画している.本稿でもこの分類にしたがって,mixed mullerian carcinosarcoma(ここでは癌肉腫と総称することにする)とleiomyosarcoma(平滑筋肉腫)に焦点を絞って解説する.
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