今月の臨床 産婦人科診療とリスクマネージメント
医療事故の実際とリスクマネージメント
9.陣痛誘発・促進
堀 大蔵
1
,
永山 祥代
1
,
野々下 晃子
1
1久留米大学総合周産期母子医療センター
pp.188-191
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100626
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はじめに
医療過誤訴訟の新規受付件数は年間約800件と近年非常に増加している.特に,産婦人科の占める割合は高く,なかでも産科に関係する問題が争点となることが多い.近年の周産期医療の発達は母体死亡率の低下,周産期死亡率の低下や低出生体重児の予後の改善は著しい.このことからも,妊娠中は異常なく経過した妊婦は母児ともに問題なく分娩が終了することを要求される.しかし,分娩には予期せぬ胎児ジストレスや母体の変化が起こることがある.医療過誤訴訟となる症例は母体に何らかの後遺症が発生するか,母体死亡例,児の予後不良例がほとんどである.分娩は自然現象であり,医療的介入を行うと問題が起こったときはその医療的介入の良否が問題となる.
本稿では,分娩の医療的介入である誘発分娩とそのリスクマネージメントについて述べる.
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