今月の臨床 血栓症と肺塞栓―予防と対策
婦人科手術における血栓症予防対策─当科の方針
1.京都大学産婦人科で行われている予防法
刈谷 方俊
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1京都大学大学院医学研究科器官外科学(婦人科学産科学)
pp.688-691
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100522
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はじめに
肺血栓塞栓症とは,主として下肢から腹腔内の深部静脈に形成され,遊離した血栓が肺動脈を塞栓することにより生じる呼吸循環不全である.婦人科領域でも,近年,増加傾向にある合併症として注目されている.肺血栓塞栓症はその約10%が発症後1時間以内に突然死するとの報告があり,このような劇症型の存在が本疾患の大きな臨床的問題である.当科では1996年からの7年間に2例の死亡例を含め11例の肺血栓塞栓症を経験した.11例中10例が悪性腫瘍で,残る1例は子宮筋腫術後であり,死亡例は術前発症の進行卵巣癌と子宮筋腫術後発症例である.このように,発症からきわめて短時間で悪化するために発症後の対応では救命しがたい重症例の存在から,本疾患に対する予防法の重要性が理解されるが,この重要性は現在ではすでに一般にも認識されつつあると思われる.
当科では前記のように実際に重症例を経験し,予防法を厳重に行っている.
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