今月の臨床 腫瘍マーカー─基礎知識と診療指針
いわゆる“マーカー再発”をどう取り扱うか
永瀬 智
1
,
八重樫 伸生
1
1東北大学医学部産婦人科
pp.1378-1381
発行日 2005年10月10日
Published Date 2005/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100415
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はじめに
婦人科領域における腫瘍マーカーとしては,子宮頸癌におけるSCC,卵巣がんにおけるCA125が代表的である.特に卵巣がんにおいては進行例の90%以上において血清CA125レベルが上昇するといわれており1),治療効果の判定や再発の診断などに利用され,外来定期診察時の検査項目としても推奨されている2).一方,卵巣がんの治療においては,初回手術における病巣の完全摘出または最大限の腫瘍減量の有効性が確認され,後治療としてのtaxane系+platinum系療法が標準的化学療法として確立し,完全寛解50~60%が得られるようになってきた.しかしながら,卵巣がんの再発症例は,ほとんどが致命的な経過をたどるため,再発の診断や再発時の治療法の選択は臨床的にも重要な事項である.本稿では,卵巣がん再発とCA125との関連について述べ,さらに,CA125のみ上昇している卵巣がん“マーカー再発”例をどのように扱うかについて考察したい.
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