今月の臨床 子宮内膜症治療のストラテジー
各論
8.再発例の取り扱い方
杉並 洋
1
1国立京都病院
pp.1344-1349
発行日 2001年12月10日
Published Date 2001/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904499
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はじめに
今回,筆者に与えられたテーマは「子宮内膜症再発症例の取り扱い方」である.一般的に子宮内膜症は種々の保存的治療を加えても根治することは難しく,しばしば再発する疾患であると考えられている1).いっぽう,根治的に治療できた子宮内膜症が再発するか否かといった問題はまだ未解決である.ここで,根治的というのは完全に子宮内膜症病巣が除去できたという意味であり,子宮および両側卵巣を摘出するといったいわゆる根治的手術を意味しているのではない.筆者個人としては,確証があるわけではないが,原則として完全に治療された子宮内膜症は再発しないと考えている.
この仮説を側面から支持するものとして,子宮内膜症の自然史に関する分析があげられる.図1はわれわれの施設において腹腔鏡下手術を受けた307例の子宮内膜症婦人の腹腔内所見を分析し,腹膜表面に存在する子宮内膜症病巣の諸形態の発現頻度を年齢階層別(階層I:12〜20歳,n=20;II:21〜25歳,n=49;III:26〜30歳,n=128;IV:31〜35歳,n=64;V:36〜48歳,n=46)に検討した結果を示している(Suginami,et al,un—published data).
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