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はじめに
分子生物学の発達に伴い,癌の診断や効果判定あるいは再発や予後を予測する因子が数多く報告されている.卵巣癌においても,osteopontinやYKL─40などの新しい腫瘍マーカーが開発されている1, 2).しかしながら,CA125を凌駕する卵巣癌の腫瘍マーカーは現在のところみられない.
卵巣漿液性腺癌のコア関連蛋白であるCA125の陽性率は,I期で50%,進行癌で90%ときわめて高く,卵巣癌の腫瘍マーカーとして広く用いられている3).一方,CA125は組織型により陽性率が異なることや,子宮内膜症,体腔内炎症疾患,月経,妊娠および腹水の存在などの偽陽性因子が存在することなどの問題点も指摘されている4).
The European Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC),National Cancer Institute(NCI)およびNational Cancer Institute of Canada Clinical Trial Groupが新たな化学療法の効果判定基準としてresponse evaluation criteria in solid tumor(RECIST)を提唱し広く用いられるようになった5).RECISTでは,腫瘍マーカー単独による治療効果判定は原則として行わないことを明記しているものの,前立腺特異抗原prostate─specific antigen(PSA)とCA125に関しては特別な付加的基準がつくられ,その妥当性が検討されている.また,Gynecologic Cancer Intergroup(GCIG)はCA125による再発判定基準を提唱している.このように,CA125の腫瘍マーカーとしての意義は診断的価値から治療効果判定や再発予知に移りつつある.
本稿では,CA125による卵巣癌の治療効果判定と再発予知について概説する.
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