今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
3.STDの治療と注意点
尖圭コンジローム
宮内 彰人
1
1日本赤十字社医療センター産婦人科
pp.614-615
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100292
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1 診療の概要
尖圭コンジローム(condyloma acuminatum)はヒトパピローマウイルス(human papillomavirus : HPV)の良性型(6,11)の感染による良性腫瘍であり,外陰肛門周囲,腟,子宮頸部に多発する鶏冠状の淡紅色の乳頭状腫瘍を形成する.接触感染であるためSTDとしての要素が強く,性行為のパートナーの60~70%に発症し,生殖の年齢に多い疾患である.一般に自覚症状は乏しいが,掻痒感や違和感を訴えることがある.
吉川1)によれば,日本における妊婦の尖圭コンジローム合併率は0.21%と米国に比べて低く,かつ妊娠中に発症しても,尖圭コンジロームが流・早産の原因になることはないと考えられている.分娩後には自然消失することが多いが,分娩時に産道感染を起こし,児に高率に喉頭乳頭腫を発症することが報告されている2).さらに重症化すると反復性呼吸器乳頭腫によって,嗄声や気道閉塞を起こすこともある.
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