今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
2.妊娠合併症の治療と注意点
[腎・泌尿器系疾患] ネフローゼ症候群
廣瀬 雅哉
1
1大津赤十字病院産婦人科
pp.568-569
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100275
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
1 診療の概要
ネフローゼ症候群とは大量の蛋白尿により,低蛋白血症,高脂血症,浮腫をきたす疾患である(表1)1).ネフローゼ症候群は種々の原因による多彩な基礎疾患から発症し,原発性糸球体疾患に由来する一次性ネフローゼ症候群と,そのほかの原因疾患に由来する二次性ネフローゼ症候群に大別することができる2).一次性には,微小変化型,膜性腎症,膜性増殖性糸球体腎炎,巣状糸球体硬化症などがあり,二次性には,糖尿病性腎症,ループス腎炎,腎アミロイドーシスなどがある2).
2 治療方針
その治療計画は正確な臨床像の把握と腎組織診断に基づいて個々に立案する.病歴,身体所見(高血圧,浮腫など)とともに,1日尿中蛋白量,クレアチニンクリアランスなどを測定する.予後判定や治療奏効率の予測のためには腎生検が欠かせないが,妊娠初期,中期は相比較的禁忌,妊娠末期は絶対的禁忌とする考えもある2)ため,慎重に適応を判断する必要がある.病期,および病理学的診断により治療方針を策定する2).
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.