今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
2.妊娠合併症の治療と注意点
[消化器系疾患] ウイルス性肝炎(A型,B型,C型)
香川 秀之
1
1関東労災病院産婦人科
pp.557-559
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100270
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1 診療の概要
妊娠とウイルス性肝炎との関連で薬物治療が問題になるのは,(1)妊娠中に肝炎ウイルスに感染し,急性肝炎を発症した場合の治療,(2)慢性肝炎合併妊婦の治療,(3)キャリア妊婦からの母子感染(垂直感染)の防止の3点である.
1. A型肝炎
A型肝炎ウイルス(HAV)による急性肝炎で,主な感染経路は,糞便や食物を介する経口感染である.潜伏期間は2~7週間で,大半のケースは発症後約1か月程度で治癒し,稀に劇症化することもあるが,慢性化することはない.母子感染は通常認められない.
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