今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
2.妊娠合併症の治療と注意点
[脳血管疾患] くも膜下出血
熊谷 万紀子
1
,
安達 知子
2
1葛西産婦人科
2総合母子保健センター愛育病院産婦人科
pp.542-543
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100264
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1 診療の概要
妊娠に関連した脳出血の頻度はおおよそ1/15,000~22,000で,非妊時に比較して相対危険率は妊娠中では2.5,産褥期では28.3という報告がある1).脳出血の主なものは高血圧性脳出血とくも膜下出血であり,くも膜下出血の原因の多くが脳動静脈奇形と脳動脈瘤である.生殖年齢に合併しやすいものは,むしろ前者であるが,脳動静脈奇形については別項に譲り,本稿では脳動脈瘤について述べる.
2 治療方針
速やかな診断ののち,手術が優先される.CT,MRIや十分に被曝を防御したうえでの最小限の血管撮影は,胎児に対する悪影響は少なく,むしろ正確な病型および部位診断を行い,それに対して最善の策を講ずることができるため,胎児の安全を確保するために有用と考えられている.
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