今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[皮膚疾患,感染症] 麻疹
干場 勉
1
1石川県立中央病院産婦人科
pp.466-468
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100238
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 診療の概要
麻疹(はしか)は幼小児期の感染症だが,本邦では年間数千例の発症と数十例の死亡がある.抗体保有率は妊婦では約80%だが,ワクチン接種率低下のため若い年代では65%と低い.麻疹では成人,特に妊婦が罹患すると重症化しやすく,分娩前後の麻疹妊婦から出生した新生児では先天性麻疹や新生児麻疹が生じる.
感染は,麻疹患者の気道分泌物などからの飛沫感染や直接接触により鼻咽頭粘膜に感染することで引き起こされる.伝染力は非常に強く,家族内発症は90%もの高率である.潜伏期間はカタル期までは11日間,発疹期までは14日間で,免疫グロブリン(IG)投与時では17~21日間までに延長する可能性がある.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.