今月の臨床 妊産婦と薬物治療─EBM時代に対応した必須知識
Ⅱ.妊娠中の各種疾患と薬物治療
1.日常的な突発疾患の治療と注意点
[皮膚疾患,感染症] 水痘
干場 勉
1
1石川県立中央病院産婦人科
pp.469-471
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100239
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1 診療の概要
水痘(みずぼうそう)は水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella─zoster virus : VZV)の初感染により起こる小児期の代表的疾患である.成人の抗体保有率は95%以上だが,成人,特に妊婦が罹患すると重症化しやすいとされる.また,分娩前後の水痘妊婦から出生した新生児では重症となる.
感染は,水痘患者の気道分泌物や痂皮形成前までの皮疹からの接触,飛沫感染により生じる.潜伏期間は10~21日(ほとんどは13~17日 : 平均14日)間である.症状は発熱,倦怠感,食欲不振などの約1日間の前駆症状のあとに発疹が生じ,軀幹から四肢へと広がる.皮疹は紅斑から数時間で丘疹,水疱に移行し,3~4日で痂皮を生じる.発疹の進行が速いため,最盛期には種々の皮疹が混在するのが特徴である.水痘患者が感染源となり得る期間は,発疹出現2日前から全水泡の痂皮化までの約1週間である.
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