今月の臨床 安全な腹腔鏡下手術をめざして
安全性と予後に配慮した手術手技
子宮筋腫の腹腔鏡下核出術―モルセレーターを用いる方法
矢野 樹理
1
1(財)田附興風会医学研究所北野病院産婦人科
pp.297-301
発行日 2005年3月10日
Published Date 2005/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100195
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はじめに
子宮筋腫は35歳以上の女性の約20%に認められる1)が,近年の女性の晩婚化に伴い筋腫患者の子宮を温存する必要性が増えてきている.また最近,腹腔鏡下手術の技術革新が目覚ましいことから,筋腫の主症状である過多月経,月経痛や不妊などを治療する目的で,従来の開腹手術に代わり,腹腔鏡下筋腫核出術が行われることが多くなってきた.しかし従来の鋏鉗子などを用いた方法では,体内で核出した筋腫を細切して体外に取り出すのに長時間を要することから,せいぜい直径2~3 cm程度の比較的小さな筋腫のみがその対象であった.最近,電動モルセレーターが開発され,比較的大型の筋腫を短時間で,しかも余分な皮膚切開を加えることなしに体外に排出できるようになり,腹腔鏡下子宮筋腫核出術がより容易に行えるようになってきている.
本稿では,電動モルセレータを用いた腹腔鏡下子宮筋腫核出術について,われわれが行っている方法を中心に解説する.
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