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はじめに
子宮筋腫は婦人科で扱う良性疾患のなかで最も多いものである.そこで,近年minimally invasive surgeryとして腹腔鏡下子宮筋腫核出術が注目されている.手術の適応は通常の開腹手術に準じ,過多月経,月経困難症,不妊,筋腫増大による周囲臓器の圧迫症状を有する患者である.手術の適応症例の選択は,悪性腫瘍,子宮腺筋症の除外から始まり,内診,画像検査(超音波検査,CT,MRI),腫瘍マーカーにより適応を決定する.腹腔鏡下手術の適応決定には筋腫核の大きさと数の診断が重要になる.当院での腹腔鏡下筋腫核出術は基本的には筋腫核が3個以内で,最大径が10 cm内外までがスムーズに手術を遂行できると考えている.また,さまざまな手術手技が要求される手術であり,特に切開,縫合の技術が十分に習熟しているのが前提で,出血量の増加によっては開腹手術への術式変更となる可能性もあり,今までにも出血量減少のためさまざまな工夫がされてきた1~3).
本術式の腹腔鏡下手術における最も重要な課題は出血のコントロールであり,なかでも特に出血の対応が必要な手術操作は,子宮筋層切開時と筋腫核の剥離摘出時である.われわれは,より効果的に剥離操作を行い,出血量を軽減するための工夫としてオニオンピールステップ法を用いている.オニオンピールステップ法とは,子宮壁の切開後,筋腫核の剥離操作に2本の有鉤鉗子を用い,剥離部分の緊張を十分に保ち,ていねいに玉ねぎの皮を剥ぐように薄い被膜を剥離するオニオンピール法と,剥離が進み剥離面に緊張を保てないときに,剥離部に近い筋腫核に再度切開を入れて把持し直すステップ法で,この一連の操作をオニオンピールステップ法とした.
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