連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール・3
子宮内膜細胞診で陰性と判定された子宮体癌の2例
井上 卓也
1
,
上田 博久
1
,
高尾 由美
1
,
武内 英二
2
,
小野 一雄
2
1滋賀県立成人病センター婦人科
2同 病理部
pp.1162-1165
発行日 2005年8月10日
Published Date 2005/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100480
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症例①
患 者 : 68歳
主 訴 : 不正性器出血
既往歴 : 特記すべきことなし.
現病歴 : 2003年3月,不正性器出血を自覚したため近医を受診した.近医にて子宮内膜細胞診が施行されたが結果は陰性であった.4月に再び不正性器出血を自覚したため近医を再受診し子宮内膜細胞診が再検されたが,陰性であったため経過観察を指示された.しかし,その後も不正性器出血が持続するため5月に当科外来を受診した.
初診後の経過 : 内診時に少量の性器出血を認め,経腟超音波で腫瘤状の異常陰影を認めた.子宮内膜細胞診を行ったが,前医と同様,陰性の結果であったが,MRI検査でもやはり子宮内に異常陰影を認めたため,子宮体癌を疑い子宮鏡検査を施行した.子宮鏡では内腔へ突出する腫瘤状の部分を認め悪性疾患を疑った.しかし,子宮鏡検査の際に行った子宮内膜全面掻爬では少量の子宮内膜組織しか採取できず,病理組織診断もmetaplastic changeで悪性の確定診断はできなかった.
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