連載 産婦人科エコー 何を考えるか?・4
胎児項部の肥厚・浮腫像
竹内 久彌
1
1愛和病院画像診断部
pp.717-719
発行日 2006年5月10日
Published Date 2006/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100124
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妊娠12週の外来超音波診で胎児項部にNTがみられたとして精査の依頼があった症例である.
ここには,妊娠14週0日に行われた初回精密超音波検査の経腹超音波による胎児矢状断像を示した.一見して項部を中心に後頭部から背部に至る皮膚の浮腫状の肥厚が認められ,それはさらに頭頂から前額部にまで至っている.肥厚が最も著しい項部では皮下組織内に小嚢胞像が認められるが,これはリンパ管腫のような腫瘤性嚢胞形成を考えるのではなく,皮下浮腫内の液体貯留像としてよい.元来,NT(nuchal translucency)と浮腫との間の画像における厳密な区別は困難とされており,約2週間前にはこれが完全な“抜け”を示していてNTと読影されていたとしても不思議ではない.しかし,現状では浮腫状肥厚が項部にとくに厚くみられ,広範囲に及んでいることから,いわゆるNTとはしないで,むしろ胎児水腫に近いパターンと考えるべきであろう.
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