今月の臨床 女性診療科外来プラクティス
II 腫瘍外来
1. 腫瘍外来の検査
5) CT
出口 雅士
1
,
丸尾 猛
1
1神戸大学大学院医学系研究科成育医学講座女性医学分野
pp.389-395
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100067
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 はじめに
骨盤内女性性器腫瘍は,軟部組織のコントラストに劣るCTでの詳細な描出は困難であり,現在ではMRIによる精査が一般的となっている.これまでCTでは横断像しか得られなかったが,多列検出器型CT(MDCT)の登場に伴い,非常に高速に3次元の情報が得られるようになり,画像の再構築により任意の断面の情報や血管造影と同様の透過画像が得られるようになってきた.これらの新しい技術を応用することで,CTでもこれまで以上に精密で有用な画像が得られるようになっている.
CTの利点としては広範囲を短時間でスキャンできること,広く普及し緊急での撮影が容易である点が挙げられる.しかし,良性疾患では急性腹症として発症する卵巣腫瘍の茎捻転の診断以外にはほとんど適応がなく,もっぱら進行期悪性疾患におけるリンパ節転移・遠隔転移の診断に用いられている.以前は卵巣嚢胞性腫瘤の充実性部分の有無の診断に造影CTが有用と考えられていたが,高速撮影可能なMRIでダイナミック造影を行うほうが圧倒的に多くの情報が得られるため,卵巣嚢胞性腫瘤の充実性部分の有無の診断にはMRIを行うべきである.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.