今月の臨床 子宮内膜症の新しい治療戦略
がん化への対応
内膜症を母地とする卵巣癌の特徴と予後
小西 郁生
1
,
伊東 和子
1
,
堀内 晶子
1
1信州大学医学部産科婦人科学教室
pp.134-139
発行日 2006年2月10日
Published Date 2006/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409100023
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はじめに
子宮内膜症は癌発生の母地として古くから知られていたが,近年,その重要性がさらに増してきた.すなわち,わが国における女性のライフスタイル変化がもたらした子宮内膜症罹患率の上昇に伴い,そのがん化の絶対数も著しく増加してきている.子宮内膜症病変のうち,がん化の頻度が最も高いのは卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)であり,稀に直腸腟中隔や骨盤腹膜の内膜症からのがん化も認められる.これらのうち,卵巣子宮内膜症性嚢胞のがん化については,後方視的な病理学的研究に加えて,近年の前方視的臨床研究により,その発症頻度,発症経過,臨床病理像が次第に明らかとなってきた.
本稿では,子宮内膜症を母地とする卵巣癌の臨床的および病理学的特徴と予後について概説する.
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