特集I 頸椎後縦靱帯骨化症
頸椎後縦靱帯骨化症の成因に対する検討—HL-Aに関して
藤谷 正紀
1
,
金田 清志
1
,
原田 吉雄
1
,
越前谷 達紀
1
,
大西 英夫
1
,
大脇 康弘
1
,
東郷 正晴
1
,
矢倉 英隆
2
,
脇坂 明美
2
,
板倉 克明
3
Masanori FUJIYA
1
1北海道大学医学部整形外科学教室
2北海道大学医学部第一病理学教室
3旭川医科大学第二病理学教室
pp.1086-1090
発行日 1975年12月25日
Published Date 1975/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908533
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はじめに
HL-A抗原(human leukocyte antigen)とは,白血球のもつ抗原であり,赤血球にABO血液型抗原とRh血液型抗原が存在するように,リンパ球の表面にも特有の抗原が存在する.従来このHL-A抗原の研究は,主に臓器移植の型合せを目的として行われてきたが,近年,疾病感受性との相関についても注目されてきた.
遺伝分析が容易なマウスのH-2系は,人のHL-A系に相当し,この抗原系と白血病との関係は詳しく分析されている.マウスのH-2抗原と白血病ウイルス感受性とに密接な関係があることは,1964年にLilly1)らによつて明らかにされた.すなわち,C3H,C57BLの2系のマウスにおいてGrossウイルス感受性を調べたところ,H-2k抗原をもつマウスに高頻度に白血病の発生がみられ,H-2b抗原をもつマウスでは低頻度にしか発生をみないというものである.このH-2抗原のような組織適合抗原が疾病の感受性にどのような機序で関与しているかということは,Snell2)が,3つの仮説をあげており,最近ではその一つである組織適合抗原座に密接に連鎖している遺伝子座が免疫反応を支配しており,これが疾病感受性に影響を与えているという考えが支持されている.
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