特集 脊椎外科(第1回脊椎外科研究会より)
陰萎および膀胱直腸障害を来した腰椎椎間板ヘルニアの治療法について
栗原 章
1
,
松田 俊雄
1
,
南 久雄
1
,
片岡 治
1
Akira KURIHARA
1
1神戸大学医学部整形外科学教室
pp.920-921
発行日 1974年11月25日
Published Date 1974/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908509
- 有料閲覧
- 文献概要
陰萎や膀胱直腸障害が腰椎椎間板ヘルニアによつて惹起されることは知られてはいるが,その発生頻度は0.3〜8%と報告者によつてまちまちであり,とくに陰萎などの外陰部障害の発生はきわめて稀れなこととされている.このような症例には観血的治療が絶対適応とされているが,その予後は決して満足なものでない.森,蒲原の報告によると,椎弓切除術を行い,髄核剔出とともに硬膜を開いて癒着した馬尾神経に対しても処置を加えたが,その予後は不良であつたとしている.我々は,外陰部障害(陰縮,外陰部の知覚鈍麻〜脱出),膀胱直腸障害を来たした6例の腰椎椎間板ヘルニアに対して腰部脊椎管狭窄症と同様に硬膜切開を加えずに十分な除圧椎弓切除術と髄核剔出術を行い,満足な結果を得たので報告した.
症例は,男5例,女1例の6例で,年齢分布は32歳〜48歳である.神経学的症状は症例によつて異なるが,Wasserman現象は全症例陰性,Lasegue症候では両側陽性2例,片側陽性4例で,交叉性Lasegue症候は2例に認められた.膝蓋腱反射は4例に片側性の低下が認められ,アヒレス腱反射は全症例に両側性の減弱ないしは消失がみられた.徒手筋力テストでは,大腿四頭筋筋力低下2例,前𦙾骨筋筋力低下5例,長拇指屈筋筋力低下6例などが認められ,2例は下垂足による愁訴を有していた.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.