論述
頸椎・頸髄損傷の手術—急性期の適応を中心として
渡辺 良彦
1
Yoshihiko WATANABE
1
1清水厚生病院整形外科
pp.12-22
発行日 1969年1月25日
Published Date 1969/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908465
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はじめに
1916年にPhiladelphiaで出版されたRobertsおよびKellyの著書"Treatise on Fractures"には,脊椎損傷の手術適応について,15項目が列挙されているが,主な点を引用して見ると,
1)ショックその他全身状態の悪い時や,脊髄完全横断損傷の明らかな時は禁忌.
2)脊髄不全麻痺で,血腫や骨片による圧迫が考えられる時は手術適応.
3)明らかな完全横断麻痺でも,症状が時に変化し軽快して,初期症状がconcussionや硬膜外血腫によると思われる場合,例えば2週間後に改善が現われるような場合にはdelayed operationの適応.
4)レ線的に転位骨片による圧迫が認められて不全麻痺の時は,即時手術の適応であるが,完全麻痺で,レ線的にも転位の甚だしいものでは手術は無用である 等々.
ここでは脊柱全般について述べられてあり,手術とは椎弓切除術(硬膜切開および閉鎖を含む)のことであるが,頸椎,頸髄損傷に限つても妥当であり,半世紀後の現在でも特に附言すべきことはなさそうである.
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