症例検討会 骨・軟部腫瘍6例—日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍研究会
〔症例4〕異なる組織像を示した軟部腫瘍及び隣接する骨病巣
節田 和義
1
,
村山 均
1
,
飯田 萬一
2
,
亀田 陽一
2
,
亀田 典章
3
,
蛭田 啓之
3
,
宝積 豊
4
1神奈川県立がんセンター整形外科
2神奈川県立がんセンター病理
3東邦大学第一病理
4町田市民病院整形外科
pp.261-264
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908048
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症例:71歳,女性
昭和61年1月,右臀部腫瘤に気付いた.昭和61年1月より腫瘤は急激に増大し,3月5日当科へ入院した.右臀部の腫瘍は20×20cm,表面平滑,弾性硬であった.単純X線像では,軟部腫瘍と同側の右腸骨内下方に円形の溶骨生変化を認めた(図4-1a).CT像では,筋肉下に巨大な軟部腫瘍があり,その腫瘍に接して腸骨病巣を認めた(図4-1b).血管造影はhypervascularityを示し,多くの細いラセン状の血管が見られ,tumor stainは濃淡が不均一で長く停滞していた(図4-1c).昭和62年4月10日,広範切除術を行った.軟部腫瘍と腸骨病巣には直接の連続性は認められなかった.軟部腫瘍の割面は分葉・結節状で境界明瞭に増殖し,出血はなく壊死もわずかであった.組織学的には,比較的均一な紡錘形細胞がstoriformに増殖し,強い異型性を示す部分もあった(図4-2).
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