視座
リウマチの外科
小川 亮恵
1
1関西医科大学整形外科
pp.119
発行日 1987年2月25日
Published Date 1987/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907550
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1960年代の初めより,関節リウマチの炎症期の外科的治療として,滑膜切除術が本邦でも盛んに行われるようになった.内外で,リウマチ治療剤としてのステロイド剤への批判が高まるとともに滑膜切除術の有用性が説かれ,関節の支持組織と屈伸機構を温存し,できるだけ広範に滑膜を切除できる術式を用いて可及的早期に手術すべきであるとの見解が一般的となった.しかし,それらの条件を満たし易い関節と満たし難い関節とがあり,膝関節や肘関節は前者に,手関節や股関節は後者に属する.
我々の経験では,十分な滑膜切除を行い得ても,術後何%かに炎症の再発をみる.それは機械的な障害,残存した病的滑膜の増生あるいは再生滑膜の炎症による.また,晩期での手術例のみならず,早期の例でも術後長年経過すると,OA性変化や骨破壊性変化が進行する例が多く,手関節手術例の約1/3はほぼ強直に陥る.
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