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リウマチ(rheumatism)は,ギリシア語のrheumatismosを語源とし,「流れ」を意味する.古代ギリシアでは,脳から悪い液体が関節などに流れて様々な病気を引き起こすと考えられていたことに由来する.リウマチは,広義では運動器に疼痛やこわばりを有する疾患の総称であり,リウマチ性疾患(rheumatic disorders),リウマチ病(rheumatic diseases)と同義であるが,一般的には関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)を指す.なお,RAとは「リウマチ熱(rheumatic fever)に症状が似た(-oid)関節炎(arthritis)を呈する疾患」という意味である.以前は「慢性関節リウマチ」と呼ばれていたが,生物学的製剤の開発などで寛解導入率が高まったこと,診断基準を満たしても炎症が慢性化しない場合があること,診断直後から病名に「慢性」が付くことによる患者の精神的負担などを鑑み,2002年より「関節リウマチ」へ病名が変更された.
RAは,関節炎と進行性の関節破壊などを特徴とする全身性の自己免疫疾患である.遺伝的要因,環境要因などが複雑に関与することで免疫系に何らかの異常を来し,発症すると推測されている.早期より複数の関節の疼痛と腫脹を示し,寛解・増悪を繰り返しながら徐々に進行し,重症の関節障害,運動機能障害を来す場合もある.世界人口における罹患率は約1%で,わが国では約60~70万人と推定されている.男女比は1:3~4と女性に多く,40~50歳代に発症のピークがある.診断には,一般的に米国リウマチ協会(ACR)の診断基準が用いられる(表)1).症状は,関節症状に限らず発熱,朝のこわばり,全身の倦怠感,易疲労性,体重減少,貧血,リンパ節腫大などが全身症状として出現する可能性がある.局所症状としては,Raynaud現象,皮膚粘膜症状,筋症状,眼症状,皮下結節などが,臓器症状としては,腎臓,呼吸器,心臓,血管などに症状が出現する可能性があり多岐にわたる.
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