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特集 意識―脳科学からのアプローチ
意識を発現する条件
What needs to emerge to make you conscious ?
Cees van Leeuwen
1
Cees van Leeuwen
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター
pp.21-36
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100004
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知覚の研究者は,脳と心を理解する基礎として,視覚の心理についての経験則を長年にわたり蓄積してきた。ゲシュタルト心理学の理論家は,ものの見え方のなかに働いている統一的な法則を見だそうとした1)。当時,主流を占めたのは,ある現象を選んで他から切り離し,それについての詳しい法則を追求する方法であった。時には批判もあったが2),心理学者は現象に対して理論的な説明を与えやすいように,それぞれの現象をより細かく区別する方法を好んだ。多くの人がこれを進歩とよび,彼らの研究を体系的な理論的法則を確立させるためのものとして評価していた。筆者は,研究はバランスがよくとれていることが必要で,理論的な独断とともに,経験主義の退廃は避けなければならないと考えている。意識と脳は一緒に発展してきたのであるから,我々にできるのは,現象論と脳の仕組みの理解を共に発展させることである。
この論文では,意識の包括的な理論にたどり着くための筆者自身のドンキホーテ的な努力を示し,それが脳の情報処理の仕組みとどう関係するかを明らかにする。まだ進行中の努力なので,論理の飛躍があることは承知されたい。最初にいくらかの基礎概念と概略を述べる。次いで,あとの節では,こういう見方のもつ方法論的,経験的,理論的,概念的な意義を詳しく議論しよう。トラ,山火事,ゾンビの話や幾つかの絵も引きあいに出すことにする。
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