Japanese
English
臨床経験
孤立した膝蓋上包に特発性出血をきたした1例
A Case of Idiopathic Hemorrhage in the Isolated Suprapatellar Bursa
高橋 勇二
1
,
古賀 良生
1
,
間渕 公一郎
1
,
浅井 忍
1
Yuji Takahashi
1
1新潟大学医学部整形外科学教室
1Department of Orthopaedic Surgery, Niigata University School of Medicine
キーワード:
特発性出血
,
idiopathic hemorrhage
,
膝蓋上包
,
suprapatellar bursa
Keyword:
特発性出血
,
idiopathic hemorrhage
,
膝蓋上包
,
suprapatellar bursa
pp.85-88
発行日 1985年1月25日
Published Date 1985/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907111
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抄録:膝固有関節腔と交通を持たない孤立した膝蓋上包に限局した特発性出血をきたした症例の治療経験を報告する.症例は46歳の女性で,10年来の高血圧の合併があり,外傷の既往はなく,右膝の運動時痛で発症し,5カ月間にわたり右膝蓋上包への穿刺により頻回の血性排液が得られていた.検査成績ではRumpel-Leedeテスト陽性以外異常はなく,単純X線,関節造影,関節鏡検査から孤立した膝蓋上包の特発性出血を疑い,膝蓋上包を摘出した.手術および組織学的所見では,3カ所の出血点と肥厚した滑膜間質の小血管の増生を認めたのみであった.術後7カ月を経過した現在,再発はみられていない.なお,本症例の出血の原因は,滑膜小血管の脆弱性が基盤にあり,機械的刺激により出血をきたし,滑膜絨毛の軽度の増殖や血管の増生を促し,さらに出血しゃすい状態になったためと推論された.また,高血圧の合併も関与している可能性が考えられた.
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