整形外科を育てた人達 第11回
Friedrich von Hessing(1838-1918)
天児 民和
1
1九州大学
pp.1306-1310
発行日 1983年12月25日
Published Date 1983/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906870
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整形外科はStromeyerが皮下切腱術で足の変形を矯正したが,この程度の手術で人体の変形を矯正し得たものは少ない.Listerが制腐手術法を発表したのは1867年であるので,それまでは器械的に矯正するよりほかに余り良い方法はなかった.その頃Hessingは義肢,補装具を考案・作製して名声を高め,Hoffaもその技術を高く評価している.しかしHessingは医師の資格もなく,制腐手術から無菌手術へと手術技術が進歩してもこの方面に知識のないHessingの治療には進歩がなかったので19世紀の終りから20世紀にかけて活躍したMünchen大学のProf. Fritz Lange(1864-1952)の自伝の「Ein Leben für die Orthopädie(1959)」の中にDer Kampf gegen Hessingの一項があり,医師でない者の旧態依然とした治療に反対した.然し今日でも整形外科では補装具は重要であり,義肢は切断者にとって不可欠である.この方面で活躍したHessingを無視することには問題がある.そこでFriedrich von Hessingについて記述するのも有意義と私は考える.
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