整形外科を育てた人達 第31回
Friedrich Trendelenburg(1844-1924)
天児 民和
1
1九州大学
pp.1192-1195
発行日 1985年10月25日
Published Date 1985/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408907278
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Trendelenburgは整形外科の専門医ではないが一般外科医として傑出した存在であった.しかし整形外科において股関節の診断には彼の名を冠した症候がある.すなわちTrendelenburg症候である.これは中・小聲筋の機能低下があると患肢で起立し,健側股関節を屈曲すると健側の骨盤が沈下する現象をTrendelenburgが先天性股関節脱臼の診断上重要な症状として1895年に報告している.それゆえに整形外科においてもTrendelenburgの名は忘れることができない.また,下腹部の手術の場合,骨盤を頭部より高く傾斜して手術台に患者を置くが,これをも彼の名を冠してTrendelenburg Positionという.彼は19世紀末から20世紀の初期の有能な外科医であった.
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