視座
術後感染防止と抗生剤の使用
河路 渡
1
1杏林大学整形外科
pp.483
発行日 1983年5月25日
Published Date 1983/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906744
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術後感染がおこる場合,生体側の条件としては,患老の年齢,全身状態,合併疾患,手術手技などの全身的,局所的な因子があげられ,これらは患者自身の感染に対する抵抗力として総合される.一方,細菌側の条件として菌の種類およびその病原性,数などがあり,この両者の条件が複雑にからみあって感染がおこるか否かが決定される.感染を抑止するためには,生体側の抵抗力を増強するか細菌の方の条件を弱めるかの何れかによらねばならず,後者の場合には抗生剤の予防投与が行われるわけである.
整形外科領域においては,近年の傾向として,人工関節置換術のような巨大な異物を使用する機会が少なくないし,また,高齢者社会を迎えた現在では,これら高齢者でもかなり侵襲の大きな手術をうけることが多くなり,患者も高齢である程,当然種種の合併症を伴っており,術後の感染は致命的なものになりかねない.
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